たくさんの方から、ボキャブラリーを増やすにはどうしたらいいかという質問をいつ
もいただく。
質問の中で一番多いんじゃないかと思うほど、みんなボキャブラリ恐怖症にとりつかれているようだ。
無理もないですよね。中学で英語を習い始めたときに、まず毎週のように単語テス
ト。これが英語の成績に直結しましたから。
では、ためしに、次のサイトの英語を読んでみて下さい。
パッと目に飛び込んだところを読んでもいいし、スポーツ欄を選んで読んでもいいで
す。
まったく歯が立たないよ、と思ったひと。
その人は、多分単語を引けば意味はわかるとおもうから、もしこの文章を理解しよう
と思うならば、単語を引くのが正解。
しかし、もし英語力を伸ばそうと思うのなら、単語を引くのは正解じゃない。
その場合の正解は、
「もっとやさしい文章をたくさんたくさん読む」のが正解。
新聞のコラムを読んで、たった10行の中に10語がわからない単語だったとする
と、文章の前後からその単語を推測するのは難しい。
それは、理解不能な単語の数が余りに多すぎるから。
しかし、100行の文章に10語の意味不明の単語がまぎれていても、スイスイ読む
ことができる。
これは、理解できる90語が支えになって、意味不明の10語を、なんとか推測可能
なレベルに落とし込んでしまうからだ。
これをたくさん繰り返す。
読んだ単語を辞書を引いて一発で記憶できるならば不便はないけれど、人間の頭はそんな風にはできていない。
しかし、たくさん読んでいくうちに、何度か出てくる単語の意味を大体つかむ、とい
うのには、そんなに苦労はない。
これは、日本語でも経験済みのことだからだ。
大人の人が朝日新聞の社説を読むのに、苦労はない。
しかし、小学校5年生が、同じところを読むと、理解をするのは難しいだろう。
わからない語彙が多すぎるからだ。
では、小学校5年生から大人までの間に、そのわからない語彙を習得したわけだが、
辞書を引いて習得しただろうか?
そうではなく、たくさん本を読んだり 時事問題のテレビニュースを聞いたりしてい
くうちに、また学校で先生の話を聞いていくうちに、徐々にそれらの語彙を習得して
いったのではないか?
英語でも同じことである。
辞書を引くのは、あるレベルに達すると役に立つ。
それは、上級レベルになって、ボキャブラリが急速に広がりを見せる時期だ。
このときに、「英英辞典」と「シソーラス(類語辞典)」を使って、周辺の語彙を探
索したり使い方を例文で読んでみたりすると、辞書を引くこと自体が 「質の高い英
語を読む」ことにつながるので、意味がある。
しかし、その前段階で一番必要なのは、
自分のレベルに合った英語を たくさん読むことだ。
これがボキャブラリーを伸ばす最も効果的な方法だと思う。
もちろん、読むだけでなく、リスニングの時も同じ。
リスニングは瞬時に音声が消えるから、読む以上に、語彙力が問われる。
本当に自分の語彙になっていると、英語のまま理解できる。
リスニングのときは、英語のまま理解できてないと、すぐに先へ進んでしまうから、
リーディング以上に瞬時の判断が必要になる。
力まず自分のレベルにあった英文をたくさん読み、さらにリスニングで鍛え上げれ
ば、万全。