英語力が飛躍的に伸びる段階!
語彙をどうやって増やしていくべきかという問題は、皆さんずいぶん苦労されているようだが、
*知らない単語をすべて調べ上げて記憶する方法
という古典的な方法をとって、どの程度アタマに残っているかを試してみると非常にわかりやすい。
私が多くの受講生にお願いしてこの方法をとってもらった結果、ほとんどの方が次のような結果や感想をもった。
*時間がかかった割りに、1週間後記憶している単語数は、10%以下。
*覚えた単語も、他の場面で出てきたときにすぐに意味につながらない。
*時間がかかりすぎて、単語を調べないときと比較すると こなせる量が3分の一以下。
ただ、この古典的なやり方を 極端に毛嫌いしてもいけないだろう。
本当のキーワードがわからない場合、つまりその語彙さえわかれば、全体の意味が霧が晴れるようにわかる場合がある。
その場合は、キーワードを辞書で引いてみて、その意味を探ると、それはアタマに残りやすい。
それだけ、印象に残るからだ。
最も効率的なのは、ある程度、英語力がついてきてから、英英辞典を活用することだ。
“The real estate agent he was meeting for lunch was a high-roller who took
chances and cut corners, probably a crook.”
(John Grisham “The Brethren”)
この中で、「high-roller」「cut corners」「crook」の意味がわからない場合でも、
たとえば、
high-roller : a person who spends a lot of money, especially gambling などと
英英辞典でわかると、
不動産屋で、ギャンブルとかあまり好ましくないことにカネをつぎ込む輩 という 悪いほうの人物像が頭に浮かぶ。
そういう人物だから、took chances (いろんな好機を狙っているし) cut cornersである。
cut corners はワルい事柄に違いない。
その不動産屋は、賭け事なんかに金をつぎこむような人間で、隙あらばいろんな好機を狙っているからだ。
実際に英英辞典をみてみると、
cut corners : to do something in the easiest, cheapest or quickest way,
often by ignoring rules or leaving something out.
まあ、took chances と似通った意味で違法であっても簡単でカネがかからずに早くできるんならば何事でもやってしまう、ということになる。
当然最後のcrookは辞書を引かずとも、
悪いヤツ、というような意味になる。(英英辞典では、a dishonest person)
そうすると、英和辞典よりも、英英辞典のほうが、
*英英辞典の英語を読んで理解するので、意味がやんわりと伝わってくる
そのやんわりと伝わってくる意味と、英語本文やリスニングでの場面が合わさって、
その単語やフレーズのイメージがつく。
これが何度か繰り返されると、その言葉のイメージが自分の物になってくる。
こうなると、日本語に訳さなくても、イメージでその単語を自分のものにしておける。
イメージで覚えているから、極端な話、その語彙には 匂いとか色がついている。
crook といったら、ドブのようなイヤな匂いで、自分にとっては危険な色、どぎつい赤色なんかのイメージだ。法を犯してまでカネになることなら手を染めてしまうような人物だ。
He is a crook というような場面に今度出くわしたら、思わず変な匂いと危険な色のため 顔をしかめてしまう、そんなイメージが記憶から呼び起こされる。
このように、自分の中の実体験に近いイメージを植えつけていくと、語彙は表面的でなく、色や匂いまでついて、しっかりと自分のモノになっていく。
結局これが、最も効果的な語彙の習得法で、さらに英語のまま理解していく方法にな
る。