「あれ、これどこかで読んだ気がする・・・」
ついこの間、子供にCharlotte’s Web を読み聞かせしていた時のこと。
どうも、前にも読んだ記憶のある文章に出くわす。
間違って同じ所をダブって読んでしまったわけではないし。
その時は、どこで読んだのか思い出せなかったが、あとでわかった。
2度読み返しているThe Da Vinci Codeに似たような表現があったのだ。
Charlotte’s Webでは、
“Rain spattered against Mrs. Zuckerman’s kitchen windows
and came gushing out of the downspouts.”
雨はザッカーさんの家のキッチン窓をたたくように降り、
雨どいからも激しくほとばしっていました。
一方、The Da Vinci Codeでは、
“…he had told her, pointing to the gargoyle rainspouts
with their mouths gushing water.”
祖父は彼女にそのように話し、ガーゴイルのたてどいが口から
激しく雨水をほとばしるように吐き出すのを指差した。
私の曖昧な記憶が、雨水をほとばしるように というイメージで
この2つを結び付けたようだ。
しかし、一方は子供向け名作、もうひとつは今話題の小説。
全く関係のない2つの読み物がアタマの中で前に呼んだほうの文章を
思い出させるとは。
丸暗記よりも、曖昧記憶のほうが融通が利く
実はこのように、英語に触れるときに、「あれ、この表現前にも出会った気がする」
という経験が増えてくると、それはかなり英語勘が養われている証拠と思っていい。
誰かと話しているときに、「お、こういう場面前にもあったような気がする」
という経験は誰でもすると思うが、それの英語版だと思えばいい。
2,3日前に、久しぶりに映画 レインマンを見返しエいるときもそんな感覚の連続だった。
自分の中に仕舞い込んでいる英語は、自分で意識しなくてもちゃんと
自分の英語貯蔵タンクにしまい込まれている。
それが、何かのきっかけで自分の中の意識にのぼってくる。
この繰り返しをおこなうことで、英語貯蔵タンクの英語単語、フレーズ、表現が、
強化されていく。
これが丸暗記との大きな違い。
こういって溜めこまれている英語は、私が別々の本を読んでいても、
どこかで出番を待っていて、突然記憶にのぼってくる。
それは、曖昧だからこそ、その類似点を無意識のうちに認識できる。
そして曖昧な記憶だからこそ融通が利くのだ。
融通が利くと言うのは、似たような英語表現が2つあなたの中に
仕舞い込まれることになる。
さっきの例でいくと、rainspouts と downspouts、gushingが
曖昧な関連性をもってあなたの中に入っていく。
今度同じ言葉やフレーズを伴った英語を読んだり聞いたりすると、
それがまたあなたの曖昧な記憶を強化し、さらに貯蔵タンクの英語も増えていく。
このように英語貯蔵タンクは、お互いに関連性を持ちながら、ドンドン増えていく。
いや、正確には、そのように増やしていく、といったほうがいいだろう。
アメーバのように、ドンドン増殖する英語を養うのは、やはりインプット。
上級者にはたくさん読んでいく多読と多聴は効果がある。
すでに英語貯蔵タンクにたくさん英語が詰まっているから、
新しい英語に触れるたびに、貯蔵タンクの英語と結びつき増殖しやすいからだ。
しかし初級者 中級者は、そこまでの勘がまだ養われていない。
もし、あなたが初級者 中級者だったら、ザッと読んでおしまいという多読よりも、
音読をとり入れたり、読んだ後にオーディオブックを利用して呼んだものを
今度はリスニングで耳からインプットする、などの工夫をするといい。
(上級者でも、シャドイングや音読を積極的に取り入れるとより効果がある。
私の知り合いの政治家の同時通訳者は、海外で育った英語ネイティブだが
英字新聞の音読を毎朝10分程度していると聞いた。)
英語圏では、オーディオブックがとても普及していて人気のある本は
ほとんどオーディオCDとして販売している。
10時間も吹きこまれて30ドル程度で買えるのだから英語学習者にとっては、
とても価値が高い。
(ABRIDGED(要約版)と UNABRIDGED版がある場合は
もちろんUNABRIDGED版を選ぶように。)
こうすると、より記憶が強化されて英語を貯蔵タンクにしまい込むことができる。
丸暗記よりもはるかに効率がいいし、より多くの英語に触れる時間がもてるので効果的。