robとstealの違い
robとstealは同じ意味の言葉として覚えている方が多いでしょう。大方の人の理解は、「盗む」という意味だと思います。このrobとstealに違いはあるのでしょうか。
robとstealの違いを簡単に要約すると、robは「奪う」、stealは「盗む」です。
robの「奪う」というのは、暴力や脅しなどで金品などを「力づくで奪う」ことを意味します。
stealの「盗む」というのは、金品などを「こっそり盗む」という意味です。
robは強盗のように奪い、stealはコソ泥のように盗むと理解するとわかりやすいでしょう。
robとstealの違いは、意味の違いの他にも、使い方の違いで注意すべき点があります。この記事では、robとstealの違いをかんたんに理解できるように、わかりやすい例文をまじえて説明してあります。間違えやすいrobとstealを理解して、使い方を身につけましょう。
robとsteal:意味の違い
説明したとおり、robは力づくで「奪う」、stealはこっそり「盗む」という意味でした。
この意味の違いを次の例文で確認してみましょう。
- Joker robbed the man of his wallet. ジョーカーは、男の財布を奪った。
- Catwoman stole the money from his room. キャットウーマンは男の部屋からお金を盗んだ。
ジョーカー、キャットウーマンはともに映画バットマンに登場しますね。凶暴なジョーカーは、男を襲い無理やり財布を奪ったという意味が、Joker robbed the man of his wallet. の英文です。 robという単語で「奪って取る」という意味を表しています。
キャットウーマンは、男が部屋を留守にする時を狙って男の部屋に空き巣に入ります。そして部屋にあるお金を「こっそりと盗みます」。steal(過去形はstole)という単語で「こっそりと盗む」という意味を表しています。
robとstealの違い: 英英辞典での意味
では、robとstealの違いを英英辞典の定義で確認してみましょう。英語学習者向けの英英辞典では、言葉の意味を分かりやすい単語だけを使って説明しています。詳しくは、英英辞典の使い方の記事を参照にしてください。
rob 英英辞典の定義
英英辞典では、robは暴力を使って(using violence)お金などを奪うことと定義しています。
steal 英英辞典の定義
英英辞典では、stealは持ち主の許可なく知らない間に(without the permission or knowledge)何かを取ることと定義しています。
robとstealの違いについて、英英辞典では次のように確認できました。
steal: 持ち主の許可なく知らない間に(without the permission or knowledge)何かを取ること
英英辞典の定義でも、robは力づくで「奪う」、stealはこっそり「盗む」という意味で使う単語であることが確認できました。
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robとsteal:使い方の違い
次にrobとstealの使い方の違いを見てみましょう。robとstealを使った英文を見比べることで、どのようにrobとstealが使い分けられているのかを理解することができます。
robとsteal:使い方の違い その1
習慣的な盗みにはstealを使います。
盗むことで生計を立てている人などを「泥棒」などと呼びますね。一度だけでなく習慣的に盗みを働くことです。この、「習慣的に」盗むという意味では、stealを使いrobは使いません。
- He steals. 彼は習慣的に盗みをする。= 彼は泥棒だ。
He robs.
robとsteal:使い方の違い その2
robbed+名詞 は、robbed+場所 の場合にだけ使います。同じようにstolen+名詞も使い方が限られます。(stolenはstealの過去分詞)
robbed+場所が使えて stolen +場所が使えない例
- a robbed bank (強奪にあった銀行) a robbed house (襲撃された家)
a stolen banka stolen house
robbed+場所が使えず stolen +場所が使える例
a robbed money- a stolen money (盗まれたお金)
robとsteal:使い方の違い その3
robは、襲う人 + rob + 襲われる人(場所) という使い方をします。stealは、盗む人+steal+盗まれる物 という使い方をします。
「襲う人」がジョーカー(Joker)で「襲われる場所」が銀行(the bank)の場合は、
- Joker robbed the bank. ジョーカーはその銀行を襲った。
Joker stole the bank.
the bank(銀行)は、「襲う場所」なのでrobが使えますが、「盗む物」ではないのでstealが使えません。(銀行の建物を盗みませんよね。)
次に、「盗む人」がキャットウーマン(Catwoman)で「盗む物」が銀行にある「百万ドル」の場合はどうでしょうか。
Catwoman robbed a million dollars from the bank.- Catwoman stole a million dollars from the bank. キャットウーマンが銀行から百万ドルを盗んだ。
キャットウーマンは銀行においてある「百万ドル」を盗むので、stealを使います。
では、少しひねりを加えて、「ジョーカーが百万ドルを銀行から強奪した」と言いたい場合は、どうすればよいでしょうか。
robは、襲う人 + rob + 襲われる人(場所) という形で使えることが分かりました。そこでこの形にあてはめてrobを使います。
襲う人: ジョーカー(Joker)
襲われる人(場所): 銀行(the bank)
盗む人+ rob + 襲われる人(場所)の形にすると、
Joker robbed the bank. ジョーカーが銀行を襲った。
ジョーカーが銀行を襲った。という英文を作ることができました。次に「ジョーカーが百万ドルを銀行から強奪した」と比べて足りない言葉を探してみると、「百万ドル」という言葉が作った英文「Joker robbed the bank.」には組み込まれていません。
しかし次の英文は、rob+盗む物 という形になり、使えないことを確認しています。
Catwoman robbed a million dollars from the bank.
robが使える英文にするにはどうしたらよいでしょうか? この場合、「百万ドルが置いてある銀行」を襲うという形にすれば、襲う人 + rob + 襲われる人(場所) という形にすることができます。
「百万ドルが置いてある銀行」は、the bank of a million dollars と表現することができます。
英文でつなげてみると次のようになります。
- Joker robbed the bank of a million dollars. ジョーカーは銀行から百万ドルを奪った。
robとsteal:使い方の違い その4
robは、主語が「加害者(盗む人や強盗する人)」ではない場合も使います。
通常はrobもstealも主語が加害者(盗む人や強盗する人)になります。奪ったり盗んだりするのは、通常は人だからです。しかし、人ではない主語の時もrobを使うことができます。
例えば「恐怖で口がきけなかった」というのは言い換えると「恐怖が口をきくことを奪った」とも言えます。
- 恐怖で口がきけなかった。I couldn’t speak because of fear.
- 恐怖で口がきけなかった。Fear robbed me of speech.
主語が「加害者(盗む人や強盗する人)」ではない場合でrobを使っている例文を見てみましょう。
- The recession robbed him of a chance at a good job. 不況が良い仕事に就くチャンスを彼から奪った。(*recession 不況)
- The second failure robbed him of his confidence. 2度目の失敗が彼の自信を奪った。
robとsteal:使い方の違い その5
stealは、盗む人+steal+盗まれる物 という使い方がきほんであることを説明しました。この形の場合、盗まれる物は、物体ではなく「考え」や「言葉」にも当てはめて使うことができます。
次の例文を見てみましょう。
- Mr. Kimura stole Kanako’s idea. 木村さんはかな子さんのアイディアを盗んだ。
- The newspaper reporter stole the text from Haruki Murakami’s novel. その新聞記者は村上春樹の小説から文章を盗んだ。
robとsteal:使い方の違い その6
steal には、こっそりと「盗む」という意味があることを確認しました。この「こっそりと」というところから「こっそりとキスをする」「こっそりと見る」などの意味にもstealを使います。
例文を見てみましょう。
- Junichi stole a kiss from Kanako. 純一は不意にかな子にキスをした。(*かな子からキスを盗んだという意味なのでfrom Kanakoになる。
to Kanakoではないことに注意) - Masa stole a look at me. マサが私を盗み見した。
robとsteal:使い方の違い その7
robとstealを受動態にする場合は注意が必要です。受動態(受け身)とは、[be動詞+過去分詞]のことですね。
robは、襲う人 + rob + 襲われる人(場所) という使い方、stealは、盗む人+steal+盗まれる物 という使い方をすることを確認しました。
では、robとstealをそれぞれ受動態にするとどうなるでしょうか?
まず、robから見てみましょう。
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rob 受動態の使い方
robは、襲う人 + rob + 襲われる人(場所) という形で使いますので、受動態にすると、襲われる人(場所)が主語になります。
次の英文は主語が「襲われる人」や「襲われた場所」なので、正しい受動態です。
- I was robbed. 私は襲われた。
- The bank was robbed. 銀行が襲われた。
しかし、次の英文は主語が「襲われる人(場所)」ではなく「モノ」なので、間違っています。
Her ring was robbed.彼女の指輪が奪われた。
正しい英文は次の通りになります。
- She was robbed of her ring. 彼女の指輪が奪われた。
steal 受動態の使い方
stealは、盗む人+steal+盗まれる物 という形で使いますので、受動態にすると、盗まれる物が主語になります。
次の英文は主語が[盗まれる物]なので正しい英文です。
- The bag was stolen. そのバッグは盗まれた。
- His idea was stolen. 彼の考えが盗まれた。
しかし、次の英文は主語が「盗まれる物」ではないため、間違っています。
I was stolen. 私は盗まれた。
「私のバッグが盗まれた」と言いたい場合は、次の2通りの言い方ができます。
- My bag was stolen. 私のバッグが盗まれた。
- I had my bag stolen. 私はバッグを盗まれた。
robとstealの違い まとめ
robとstealの違いは次の通りです。
- robとstealの違いを簡単に要約すると、robは「奪う」、stealは「盗む」です。
- 習慣的な盗みにはstealを使います。He steals. 彼は習慣的に盗みをする。= 彼は泥棒だ。
- robbed+名詞 は、robbed+場所 の場合にだけ使います。a robbed bank (強奪にあった銀行)
- robは、襲う人 + rob + 襲われる人(場所) という使い方をします。
- stealは、盗む人+steal+盗まれる物 という使い方をします。Joker robbed the bank. ジョーカーはその銀行を襲った。 Catwoman stole a million dollars from the bank. キャットウーマンが銀行から百万ドルを盗んだ。
- robは、主語が「加害者(盗む人や強盗する人)」ではない場合も使います。 恐怖で口がきけなかった。Fear robbed me of speech.
- stealは、「考え」や「言葉」を盗むという意味で使うことができます。 Mr. Kimura stole Kanako’s idea. 木村さんはかな子さんのアイディアを盗んだ。
- stealは、こっそり見る(盗み見する)などの意味でも使うことができます。Masa stole a look at me. マサが私を盗み見した。
- robとstealは、受動態にできる場合とできない場合があります。 I was robbed. 私は襲われた。
Her ring was robbed.彼女の指輪が奪われた。The bag was stolen. そのバッグは盗まれた。I was stolen. 私は盗まれた。
参考文献・ウェブサイト
・ジーニアス英和辞典
・Cambridge Dictionary
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