先日ハワイへ仕事兼遊びに行ったときのこと。
天気がイマイチよくなかったので、退屈しのぎに街へ。
ワイキキの街中は相変わらず日本人町のようだった。
地元の日系人も多数レストランとかで働いているらしく、私たちが出かけていった日 本人系の鉄板焼き屋にも、多くの日本人が働いている。
紅花の影響か、鉄板焼きというと目の前でシェフがパフォーマンスをしながら肉を焼
くのが当たり前になっているのか、私たちの目の前に来たシェフも たまねぎを輪切
りにして、それをドンドン積み重ねていって、中に火をつけて「かざんー!」と叫ん
でいた。(パチパチ)。
私たちだけでなく、となりにいたオレゴンからきたという老夫婦も、ちょっとしらけ 気味だったが、そのシェフどうも日本語も英語も怪しい。
オレゴンの夫婦が英語で問いかけても、何度か聞き返して、返事もどうも的を得な
い。
私が、ちょっと日本語で助け舟をだすと、それもよく分からない風なのだ。
で、効いて見ると韓国人なんだそうだ。
実はその前にデューティーフリーショップにも立ち寄ったのだが、ここにも韓国人が 大勢働いていた。今やハワイも、日本人から韓国人へターゲットを移し始めているん だろうか?
デューティーフリーショップの韓国人女性は、丁寧な日本語で受け答えが出来る。
聞いて見ると、会社で研修を受けたので、店で想定される会話はある程度分かるし受
け答えできるんだそうだ。
彼女の日本語を聞いていて、これが多くの日本人が英語に求めている会話レベルの英語とおなじものかなあ、とひそかに感じた。
大体話の内容が想定されるから、それにあわせて反射的に口から出てくるフレーズは
2つか3つに絞られる。
その絞られた選択肢から最良の回答を相手に話す。
反射的に口から出てくる英語っていうのは、日本語でいうと、
「野球をテレビを見ているときに、奥さんが何か話しかけてくる。んーー、いまいい とこなんだなー、おお、今のは空振りだ、審判、いまのバットは完全に回っている、 そうだね、まあ好きにしたらいいよ、」
最後の、「そうだね、まあ好きにしたらいいよ」というのが奥さんへの相槌。
多分話の内容はあまり聞いていないし、あとでホントに奥さんが好きにしたら
「なんでこんなことしたんだ」
「だって、あなた好きにしていいっていったじゃない」
という結果につながりかねない、伏線に満ちた会話だ。
ほとんど反射的に返事をしていて、考えていない。
考えていないと言うか考えられない、アタマは審判の判定で怒り心頭の最中だから
だ。
こんな経験をしているのは私だけでないが、つまり反射的に口から出てくる言葉ほど
無責任なものはない。
確かに言った。でもあの時は・・・
こういう時って、重要なことを反射的に返事しちゃいけない。
「お風呂とゴハンどっちかがいい?」
「お風呂」
「お昼カレーライスか、パスタにしようと思うんだけど」
「パスタがいいな」
これは、反射的に返事してもいいと思う。
でも、重要な会話は反射的に返事してはいけない。
「きょう、60万円のバッグ買ってこようと思うんだけどいいかしら?」
これに反射的に返事をしてはいけない、じっくりと考えねば。
「ああ、そのバッグの品質と価値がどの程度のものかよく考えてみたけど・・・」
から始まり、延々と反論をすべき、脳みそを最大限に活用すべき時なのだ。
英語でも、同じ。
片言の英語を反射的に応えるには、脳みそを通す前段階。
そしてこの段階も、必ず必要である。
ちまたの英会話教室が「英語ペラペラ」とうたっているのはこのことではないかと思う。
先ほどの韓国人シェフを例にとると、
「ゴハン? チャーハン、どちらがいいですか?」
「はい、火山!、ハクシュ!」
「肉のヤキカゲン、ミディアムでいいですか?」
「アリガト ゴザイマシタ、またきてください」
十分旅行は楽しめる。これに税関をスンナリとおれる英語を覚えておけば、ハワイ旅 行は最高に楽しくなるし、連れの友人から「オマエ英語できるな」ともいわれる、か もしれない。
しかし、ホントの英語力を身につけるには、やはりその次の段階として、ちゃんと脳
みそをグリグリ描き回してほしい。そうすると、映画も楽しめるし、翻訳されていな
いペーパーバックも楽しめるし、何より会話レベルでなく、欧米人と激論することも
可能かもしれない。英語も駆使できるようになったほうが、数倍も楽しくなる!