どうやったら英語で考えられるのか?

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著名な英語教師 松本 亨 氏が、英語で考えることの
重要性を訴え、「英語で考える本」という著作を出したのは
1968年。

氏は、14年にわたる在米経験を生かし、NHKの英語講座を
22年も担当した、まさに日本の英語教育の先駆者です。

その氏によって、「Think in English」の重要性が
唱えられていたのに、それが学校教育に導入されなかったのは、
大変残念です。

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「英語で考える」ことができるかどうか、これが英語ができるかどうかの分かれ目です。

そう言い切っていいでしょう。

氏は、
「私は、日本の英語教育の将来を考える時に、現在の行詰りを
打破して、日本人がその生まれながらにして持つ能力と伝統的な
努力心とによって、自由に英語を使いこなせる日が1日も早く来ること
を願ってやまない。そしてその打開の方法は、「英語で考える」ことを
主眼とした教授法であることを断言」しています。

面白いのですが、海外で英語習得が完成した(または近づいた人)は、
口を揃えて、英語習得は「英語で考えること」といいます。
日本語と英語は全く無関係という立場です。

これは、幼児期からのバイリンガル(親は日本人とアメリカ人など)も
同じです。彼らは、英語のときは英語だけ、日本語の時は日本語だけ、
で会話をします。頭の中も、会話している言語のみになります。

しかし、この考えは、「日本」という枠から出たことのない人には、わかりづらい。

 

現に、日本で英語習得を完成した(または近づいた人)は、
日本人には、Think in English はできないし、必要ない、
と言う人が多いようです。
これは、同時通訳者や翻訳者など、英語を仕事にしている人も
含めてです。

他の国の人はどうなんだろう、と思って、
これを機にインターネットでアンケートをしてみました。
大人になってから第2言語を学んだ人が対象で、第2言語を母語に
訳す勉強法はどう思うかというアンケートです。

答えてくれたのは、アメリカ人、ポーランド人、ドイツ人、カナダ人、
中国人、など23人に及びました。
そして、例外なく全員が、習得した第2言語を使っているときは、
母語は全く介在させないと答えました。

さらに、母語に訳す方法はありえない、なぜなら言語には、
その言語特有のカタチ、表現があり、それをすべて訳すことは
できないはずだ、という意見が圧倒的に多いという結果になりました。

また、母語、学ぶ言語を言ったりきたりする方法は、明らかに
効率が悪く、習得するにも時間がかかるだろうという意見が
多数でした。

中には、次のような意見もありました。

第2言語を学ぶ最初の段階は、母語との比較は役立つ。

なぜなら、比較によって、第2言語の特徴をつかむことができるから。
しかし、それは初期の段階で、そのあとは、母語を介在させない
リーディング、リスニングを通して、学んでいる言語だけで完結できる
よう努力しなくてはいけない。そうでなければ、第2言語を本当に
マスターすることはできないだろう。

私も海外で英語力が大きく伸び、その時開眼したのが、
「英語だけで完結する世界」でした。
自分の考えの中に日本語がすべて排除され、
聞くもの、読むもの、話すこと、書くこと がすべて英語の
世界になった時、英語が自分の一部として、自分に所属している
モノとして感じることができたように思います。

リスニングする時に、ものすごいスピードでアタマの中で日本語に
訳す、それでTOEICのリスニングくらいだったら満点はとれます。
しかし、実際の仕事でのディスカッション、英語ニュースでは、
そんな余裕はきっとないでしょう。
「日本語に訳す」というワンクッションが入っている限り、
どこかでスピードで追いつかなくなり、破綻するでしょう。

たとえば、テレビドラマで、次のようなセリフを聞いたとしましょう。

It’s getting late, sir. I was wondering, are we through
for the evening?

多分話しているのは、2秒くらい。
そして、続きの会話がすぐに続きます。

訳して理解してたら間に合わないでしょう。

では、どうやったら英語のまま理解できるか?

It’s getting late. を知っているからです。

It’s getting hot.
It’s getting cool.
It’s getting late.
It’s getting better.

など、It’s getting ~ を何度も何度も聞いて読んで(または覚えて)
知っているからです。

ですから、訳さずとも、瞬時にわかるのです。

I was wondering~、be through も同じです。

しかし、初級者の方がいきなり日本語に訳さず理解する
というのは難しいかもしれない。
“wonder”ってナンだ? と思うかもしれません。

その時は、まず推測する、それから辞書をみる。

英英がおすすめですが、ムリなら英和。

そうすると、「不思議に思う」「驚く」などと載っています。
こういった、言葉は忘れて概念だけ身につけてください。
(訳語は、辞書を書いた人自身が考えた出した訳語です。
wonder=「不思議に思う」ではありません。)

そこで、英英を見てください。

英英では、to think about sth and try to decide などと載っている。
これもイメージです。
もちろん、 wonder=to think about sth and try to decideではありません。

それで、英英の例文をみる。

I wonder who she is.
I was wondering where you were.

もちろん、「私は彼女が誰だろうと不思議に思う。」などと訳さない。
せいぜい頭の中で、「ふしぎ~、だれ?彼女」くらい。
そうしたら、「ふしぎ~、だれ?彼女」のイメージ(言葉でなく自分の感情)と
結びつけるようにと考えながら、I wonder who she is.を10回くらい
暗誦する。

初級者が英語で考えることができないのは、「英語の量」が
圧倒的に足りないからです。
どんどん増やす方法が、イメージと英語を結びつけてたくさん暗誦することです。

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