理論編
文章で書かれた英語は理解できるが、リスニングとなると、
さっぱり聞き取れない。
英語は、口頭でのやり取りを重視し、ほとんどの英語関連試験で
リスニングが試されます。ところが、リスニングができずに
英語嫌いになってしまっている人が多いのも事実です。
そのためか、洋画を字幕なしで楽しみたい、CNNニュースを
聴いた瞬間に理解できるようになりたい、という願望をもつ
学習者はあとを絶ちません。
しかし、ほとんどの人が挫折をしてしまいます。
何がリスニングをそれほど難しくしてしまっているのでしょうか?
英語と日本語のリズムの違い
中国人は、英語のリスニング、スピーキングともに得意に
なる傾向があります。先日米国の公共放送NPRで、
中国人の著名建築家をインタビューしている番組を聴く
機会がありました。もちろんインタビューは英語です。
その建築家は、日本人ではありえないような流暢さで
インタビューに受け答えしていました。英語の発音はほぼ正確で、
しかもイントネーションは英語ネイティブに匹敵するくらいです。
若干のアクセントがあることから、その建築家が英語圏で
育ったのではないことはわかりました。多分米国の大学院などで
何年か留学をしたのではないか、といった感じです。
その建築家に限らず、私と同年代に米国留学をしていた
中国人の留学生は、やはり同じように流暢な英語、
滑らかな発話を獲得していました。
中国語の発音は、きわめて複雑です。
中国語(マンダリン)のma には4つの発音がありますが、
アメリカ人には同じように聞こえます。つまり中国人は、
母語のイントネーション、発音の枠が非常に大きいため、
英語には 中国語の発音とイントネーションを当て込むだけでよいのです。
そのため、新たに発音を練習する必要がありません。
中国人はただ今までの自分が持っている発音の一部を
当て込むだけで、英語をほぼ正しく発することができるのです。
米国発音訓練専門家のAnn Cook 女史は、
このような中国人を「音の調節の魔術師(pitch masater)」と称しています。
これに対し、私たちの日本語は、発音の幅が一定に限られています。
言葉はすべて母音でおわり(あ、い、う、え、お)、
子音で終わる言葉に慣れていません。
また、言葉の間隔(pitch)が一定です。
言葉の間隔が一定ということは、
「こ・と・ば・の・か・ん・か・く」 それぞれのひらがなを
発する長さが同じということです。
ほとんどの人は、英語にもこの日本語のクセを持ち込みます。
すべての単語は一定間隔になってしまい、
声の上下でイントネーションを作る事をせず、
単語一つ一つをぶつ切りにします。
そのため、英語ネイティブからすると、日本人の英語は、
「ブツ ブツ ブツ」と単調で、機械的に聞こえます。
では、英語はどのように発話されているのでしょうか?
音楽に例えると英語はジャズ、またはワルツです。
日本語が、二拍子がよく合うのにくらべ、英語は3拍子が
似合います。
日本語では、誰かが歌いだすと手拍子は決まって2拍です。