ずいぶん英語に対して厳しい見方をする人の本を読んだ。
著者は、「国家の品格」新潮新書でベストセラーになった数学者。
お茶の水女子大で教鞭をとり、アメリカ、イギリスにも留学、教鞭を
とった方。
著書の中で、
「英語に関しては、国民の五割が学習し、20パーセントがどうにか
使え、五パーセントくらいのエリートが流暢に操れる(中略)くらいで
ちょうどいいのではないか。」
「使いものになるはずもない英語学習に全国民を追い込むのは、
壮大な国家エネルギーの浪費だろう。」
日本人の20パーセントくらいがどうにか使え、5パーセントくらいのエリート
が流暢に操れる、というのには実は賛成である。
現状 流暢に英語を操れる人は多分5パーセントもいないだろう。
総人口1億3千万人として、その5パーセントは約650万人である。
こんなに多くの日本人が英語に不自由しないで流暢に操っているとは
思えない。
英語講座を主宰している現状を考えてもうなずける。
ただ、もう一方で、英語の裾野については、まずみんなにその機会を
開くほうがよいとも思っている。
だから中学高校で英語を学ぶのは全然無駄ではなく、ぜひ続けて欲しい
と思う。
これもまた英語講座の受講生の方々からのフィードバックなのだが、
どうしても仕事で英語を使わなくてはと考えているエリート志向の人たち
がいる一方で、「英語は楽しい。だからもっとわかるようになり
たい」と思っている人たちがたくさんいる。
私も英語は楽しいと思っている。映画でも字幕でみるよりも英語を
わかってみたほうが楽しい部分がたくさんある。
洋書もサスペンスモノなどは、翻訳では味わえないスピード感やスリル
を感じることができるし、自伝なども実際に著者と対話している感覚を
楽しめる。
何よりも英語は実は簡単な言語なので、楽しい楽しいと思って続けて
いると、その効果が実際に英語力として現れてくるので、ドンドン
続けていこうという気持ちになる。
私はできる限り この
「20パーセントがどうにか使え」る
人たちの数を増やし、またその実力も伸ばしてあげることができれば
と願っている。
英語はある程度のレベルに達すると独学が可能。
洋書を一冊読みこなせば500ページの本で大体15万語読んだことに
なる。語彙や表現に注意しながら月に2冊も読めば、英語勘はドンドン
養われる。
洋画をみるときも、見っぱなしにしないで、英語字幕をうまく活用して
自分の英語力を上昇させるように見ることで、立派な教材になる。
ちょっと英語ができるようになれば、英語でする仕事やボランティアに
は事欠かない。
私が知っているプレスクールでは、日本に滞在する欧米人の子供を
預かっているが、日本語が母国語で英語がしゃべれる日本人は大歓迎。
父母と英語でやり取りができ、かつ日本語でテキパキと日常仕事を
こなせる、こんな人材をいつも探している。
難しい学問よりも英語は楽しい。
娯楽映画でも学ぶことができるし、
自分でその向上具合を測ることができる。
年配の方が囲碁や将棋をするように、英語を始める方も多いらしいが
私はこのように英語を楽しみながら学習していくという人たちが
増えていくのは大歓迎。
トップ5%のエリートを誰もが目指すというのではなく、楽しみながら
英語を学んでいくと、毎日も生き生きとしてくる。
朝起きたらCNNでニュースをみる。
コーヒーを飲みながら読みかけの洋書を読む。
日本で仕事に来ているイギリス人の知り合いとランチをして、
夜は映画を字幕ナシで楽しむ。
実はこうやっていると、英語力はグングンとついていき、いつの間にか
どうにか使える20%のレベルになれる。
そうなると、英語が上達するのがもっと面白くなってくるから、
必然的にトップ5%のレベルまで何とかやってみようかという気になる。
初めは映画を少しでも字幕なしで聞き取れるようになりたい、
海外旅行の時に英会話が少しでもできればうれしい、という理由から
英語習得を始めた人が、いつも間にかもっとレベルの高い英語に
意識的に取り組んでいる。
あなたもまずは楽しみながら。あまり深刻に考えるよりも 始めることで
実力はついてくるから、それからもっと先のことをかんがえたらいい。