「いつもiPodで英語を聞いているんですか?」
雑誌の記事でインタビューされたときのこと。
私「いえ、聞いていません。」
「えっ、そうなんですか?」
私「ええ、だって、日本語のNHKニュースを聞くために
iPod持ち歩かないでしょう? 英語も同じことです。」
大阪に私が知っている日本人で、もっとも
英語に精通している人がいる。
ネイティブも知らないことを、なぜか知っている!
いつも一緒に仕事をさせてもらっているが、
インタースクール卒、米国大学、大学院とほぼ米国生活が
10年に及び、英語が母語化した彼が言うには、
「リスニングは、一度できたら、もう一生忘れることはない。」
私もリスニングに関しては、リスニングができなくなったという
経験は、ない。
スピーキングについては、日本にずっといて、しばらく英語を話さないと、徐々に話す感覚が鈍っていく。
私は、英語で話せなくなるといけないので、脳内言語を1日5時間くらい
英語にして、概念を英語に落とし込み英語で思考するようにしている。
明け方のまどろみのくだらない思考から始まり、仕事でアイディアを
考える時、風呂でボーっとくつろいでいる時、英語で思考する。
テレビドラマを見ているときも、セリフを頭の中で同時通訳している。
もちろん、疲れない程度に、お遊び程度でやる。
要は、英語をクリエイトする能力は、筋肉と同じで、使わないとすぐに落ちてしまう。
帰国子女が、リスニング力は全く落ちないが、スピーキングは
帰国後、2~3年で全然できなくなってしまうのと同じ。
スピーキングには、メンテナンスが必要なのだ。
ところが、リスニングは落ちない。
多分いったん、音と意味(語彙)の一致が脳内で出来上がると、
そのパターンは記憶の奥深いところにとどまり続けているのでは
ないかと思う。
リスニングができるようになりたい、という要望が一番多いので、
あなたにも ぜひリスニングの技を身につけていただきたい。
一番重要なのは、あなたの耳にどう聞こえるかを記憶することだ。
What are you talking about? という英語が、
「ワラユートーキンバウ?」と聞こえる場合もあるし、
「ふワラターtキンュバウ?」と聞こえる場合もある。
話し手によっても違うし、スピードによっても違う。
また、あなたが同じ音を聞いて感じる音と、私が感じる音も違う。
こういった聞こえを元に、あなた自身の聞き取りのデータベースを
作り上げることだ。
いったん聞き取れるようになると、今度は、聞き取れない人が、
どうして聞き取れないのかがわからなくなる。
一度、聞き取れる側についてしまうと、聞き取れない側からの
判断が難しくなるのだ。
そして一度聞き取れれば、もうiPodなどで英語を何度も聞く必要もなくなってくる。
あなたも一度自分の「聞こえ」を確立すると、もうリスニングに時間を費やす
必要はなくなる。