この世のものはすべて対立する2つの物事から成り立っている。
「ダ・ビンチコード」で有名になった作家ダン・ブラウンの
“Angels & Demons” (邦題「天使と悪魔」)に出てくる一節では、
“God created…light and dark, heaven and hell”
“Exactly. He created everything in opposites. Symmetry. Perfect balance.”
すべてに両極があるから、美しく調和が保たれて成り立っている。
この人の小説は、ちょっと極端な表現もあるのかもしれないけれど、西洋の
普通の人が考えの底にもっているものを垣間見ることができるので面白い。
また、この人の文章は、内容が文化的な背景とか西洋の歴史をある程度認識して
いないと読み進めるのが難しいかと思いきや、いろいろと説明してくれて、英語は
簡単なのでそれほど苦もなく読み進めることができるのでお勧め。
英語にもバランスがあって、
英文が読めるだけ、映画をみてわかるだけ、というのでは
片手落ち。
海外に何年もいって、英語には不自由しませんといっても、いざ評論文などを読む段階に
なって尻込みする帰国子女はいくらでもいるし、かといって堅い文章を読むのはお手の物
だけど、映画はさっぱり聞き取りできない、というのもちょっと残念だ。
元首相 宮澤喜一氏を日本人で最高レベルの英語を操る人として取り上げたが、
同じく緒方貞子さんも、同様に現代に生きる日本人として最も高く評価される
英語力を駆使して、素晴らしい活躍をされている。
難民救済に賭けた道のりをまとめた本が、日本語版でも出版されたが、
もともと英語でかかれた本である。
私も先日手にとって読んでみたが、非常に読みやすく簡潔な文章で、教養がにじみ出ている英語。
この英文を何度も繰り返し読むことで、英語学習者にはまたとないお手本になるような文章だ。
The Turbulent Decade
紛争と難民 緒方貞子の回想
バランスよく英語を伸ばしていくという意味では、このような洋書を堅い本として、
それから英語ネイティブが書いた次のような英語を定期的に読みこなし、
教養レベルでの英語アレルギーがないようにしておきたい。
“What happens when a child loses a part of the cortex in both hemisphers
so neither hemisphere can take over the job of the missing part in the other?”
(出典 Steven Pinker “the blank slate“)
それから、お楽しみのレベルで、即会話やスピーキングに役立つような表現を習得していくと、
これはもう鬼に金棒。トップレベルの英語力を維持し続けることができる。
映画はやわらかい会話表現の宝庫だ。
“Hi, It’s me. Well, you didn’t hang up. Does that mean we’re engaged?
Listen, I just want to hear it’s not over. I mean, I’m scared it’s over.”“Don’s ask me tonight. I don’t know what to say. Let it sit.”
「ぼくだよ、電話切らないんだね、まだ婚約成立中って考えていいかい?
ねえ、まだ終わっていないといってよ。終わってしまうのが怖いんだよ。」
「今夜はその話はやめて。なんていったらわからないわ。考えさせて。」
(映画レインマンより)
こんな、すぐに使える英語表現満載の洋画はやはり見逃せない。
hang up 電話を切る I’m scared 怖い
let it sit 考えさせて
など、こんな表現はなかなか硬い評論文では味わえない。
けれど、日常会話には頻繁にでてくる。
硬い英語とやわらかい英語、どっちも学んでバランスが取れる。
堅い英語に疲れたときに洋画でやわらかい英語に接するとリラックス
できるし、また堅い英語に挑戦しようという気になる。
このバランスをうまく保てば、やる気もあがって、英語力が継続的に伸びていく。