メルマガを読んでいただいている読者から、直接TOEICなど英語試験に関するご質問はあまり多くありません。
しかし、下記のように質問をいただいたので、あなたも現実的に点数を上げなくてはいけない、と考えているかもしれないと思い、今回はTOEICなどの試験に対する対処法をあげてみました。
まずは、いただいたご質問を直接引用してみます。
「こんにちは。メルマガを毎回拝見しています。
現在、外資系携帯電話メーカーで、組み込みソフトウェアのエンジニアをしている者です。
メルマガでのご意見には、大変共感しています。
現在通信教育を受講しています。
現在の通信教育とは、実は「TOEIC」なのです。私もTOEICに肩入れをするつもりなど全く無いのですが、しかし転職する際にRESUMEなどを書く際には必ず、「TOEIC,TOEFL,英検」を書く必要があります。
また逆に言うと、これらの検定試験以外に、日本人(Non-Native English Speaker)の英語能力を証明する手段が無いのです。
私は外資系を渡り歩いている技術屋なので、語学よりも技術内容で採用してもらうことが多かったのですが、それでもTOEICの点数をしきりに確認されます。
人事面接時には米国人やら欧州人が現れて懇談することもありますが、内容的には大したもんじゃありません。
また、先ごろのニュースをみると、日立ではTOEICを全社員が受講することが義務付けられ、日産ではTOEICの全社員の平均点が600点を超えそうだとか。
こういう情報が話題になる日本のビジネス現場の状況からすると、やはりTOEICのスコアと言うのは、意味をもつのじゃないでしょうか?(個人的には賛同したくありませんが…)
私自身としては、できるだけ実践に沿った英語を身につけたいのですが(英語を使用する機会が多いので)、如何せんTOEICのスコアもアップしておかないと、大きな事を言えない状況があります。
こうした状況下なので、やはりTOEICを中心とする勉強をせざるを得ないのではないでしょうか。
敢えて日本のビジネス現場での葛藤を抱えている者として質問させて頂きました。
よろしくお願いします。」
以上がご質問の内容です。
つまり、アタマでは英語をそのまま理解できるようになることが必要だけれども、現実問題としてはTOEICなどのスコアをあげる必要がある、ということです。
実践の英語は絶対必要だけど、でもTOEICの点数が良くなければ転職もおぼつかない、という現状のジレンマを書いていただいたものでしょう。
TOEICやTOEFL自体をいいかげんな試験だとは私は思っていません。
しかし、今の日本のTOEICで英語力をすべて測ろうという風潮には疑問を持っています。
確かに新しく採用する側では、あなたの英語力を測る尺度をTOEICのスコアで見るしか方法がないという事実もあるかもしれません。
しかし、たとえばTOEICで900点とれば、その人は英語達人でネイティブと同じように英語を使いこなせると考えているのであれば、それは違うということを強調したいのです。
私はこういった英語の試験を他の試験と比べてみればいいのではないかといつも思います。
たとえば、技術者用にマイクロソフトが認定する様々な資格があるようですが、本当にその資格を取得していたら、実際に仕事上耐えうるだけのプログラムが書けるでしょうか?
実際に役立つプログラムを書くためには、その技術者の経験からくる思考能力、経験からくる現実的な書き方、などが重要ではないでしょうか?
私の会社では、オンライン教育システムを自社開発していますが、採用の際スタッフの能力を測るときに、1週間くらい実際にコードを書いてもらうほうが、認定試験よりはるかに実力がはっきりわかります。
同様にTOEICで高得点してもそれが、現実レベルに使えるかというとそうでないケースが多い。
けれどもみんながTOEIC万能主義のように考えてしまうのは問題である、ということを私は声を大にしていいたいのです。
外資系技術メーカーに勤めていた私の知人が、今年見事米国のビジネススクール経営学修士課程(MBA)に合格し、授業を受けていますが、彼からのメールには、「TOEFL,TOEICの試験がいかに低レベルのものであったかが、いまさらながら実感してます。」とありました。
私はTOEICに関する質問の多くが、「でも、現実には試験でいいスコアをとらなければ転職時に評価してもらえない」「会社でTOEICを評価しているのだから、そのスコアを無視するわけにはいかない」というジレンマにあるのは理解しています。
しかし同様に、「社内でTOEIC900点だから、英語の天才と思われて荷が重い。本当は、ネイティブのいる会議では聞き取れない箇所だらけだし、映画を見たってぜんぜん聞き取れないのに」「翻訳プロとして仕事をしているので、まわりからいつも頼られる。
でもほとんど聞くことに関してはTOEICなどのレベルしか聞き取れないので、とても不安」といって、講座受講をはじめている方が多数います。
「でも現実にはスコアがないと・・・」という読者への対処法を提案させていただくと、
「TOEIC対策本で勉強しても、TOEICでさえそれほどのスコアは期待できない」ということです。
いま、本屋ではたくさんのTOEIC関連の本が売られていると思います。
あなたが、TOEIC600点を目指して600点を目標にしている人を対象に書かれた本を勉強しても600点達成は容易でないでしょう。
もし、TOEICの勉強をしたいと、考えるならば、傾向と対策を知る意味で、過去の問題や実際の試験と同じレベルの勉強をやることです。実際にはやさしい問題が出題されないのならば、TOEICxxx点向け対策本に書いてある内容も出題されないのでしょう。
であれば、最初からTOEIC900点向け対策本とか実際の過去問題のほうがよほど効果があるでしょう。しかも、これは時間配分とか、時間がなくなったときの対処法などをあらかじめ対策しておくに留まるくらいの効果でしょう。
あなたの役に立ちたいと思いますので、ぜひ提言させていただきたいのは、目標をTOEICに定めないこと。
目標をTOEICなどのスコアに定めると、あなたの英語力は、そこまでの英語力で一生終わるでしょう。
目標をもっと、上のレベル、つまりナマの英語がそのまま聞き取れ、理解し、自分で表現できる力をつけるレベルに置いておけば、TOEICのレベルはその中腹くらいの段階です。ですからTOEICでちょっと過去問題に目を通しておけば、結果はそれで十分ついてくるでしょう。