どうして英語のまま理解することが重要?
特に日本人にとって
英語を究めた方々の本には、英語は日本語に
訳さず英語のまま理解することが重要と記されて
いることが多いようです。
NHKの講座を20年以上も持たれた 松本 亨 氏も
自著「英語で考える本」などで、
そのことを何度も繰り返しています。
しかし、英語入門者が英語のまま考えるというのは、確かに難しいと思います。
なぜなら、英語の蓄積がほとんどないから、
英語で考えようにも考えられない。
ですから、私は、初級者の段階では、英語で考える
というよりも、英語で理解する、英語のまま理解する
という程度がよいのではないかと思っています。
英語で考える というのと、
英語のまま(訳さず)理解する、というのは違います。
これは、たとえば、
I love to drink tea.
という文を意味もわかって暗誦したとして、
その次に、
I love to play tennis.
という文に出くわしたなら、
I love to の部分は、すでに分かっているのだから、
いちいち日本語に落とし込むまでもないですよね、
ということです。
つまり、[日本語に訳す]よりも、英語のままでいいですよね、
というスタンスです。
英語のままのほうが、それよりも作業が一段階多く必要になる
和訳よりも、簡単という意味です。
いったん、I love to drink tea.を理解できているならば、
I love to play tennis.も、いちいち他の言葉(日本語のこと)に
直さなくてもわかるはずだ、というのが私の考え方で、
私はそれで英語に接してきたおかげで、
少しだけ早く英語の習得ができたのではないかと思います。
[英語で考える]というのは、初級者には難しい。
私は 最初は日本語で考えて、それを英訳してよいと思います。
そして、英訳した英語そのものを、自分の英語として、次からは、
[わざわざ日本語から英語へ訳す]までもない、ということで、
英語のまま言う、というスタンスがいいのではないかと思います。
いきなり、「本社での仕事 たくさん しなくちゃ」という概念を英語にできない。
それならば、いったん日本語にしてみる。
日本語で「本社でしなくちゃいなない仕事がたくさんあります」という文を
まず作って、それから英訳してみる。
そうすると、
I have a lot of work to do at the headquarters.
というような英語ができる。
今度は、この英語と、「本社での仕事 たくさん しなくちゃ」という概念を結び付けておく。
重要なのは、ここでも、
[概念] と [一度理解した英語]の 結びつけ です。
これのよって、[日本語]という仲介役が不要になるからです。
そうすると、次の機会に、
[会社で つらい仕事 たくさん やんなくちゃ」という概念が頭にポッと浮かんだ時に、
それをいちいち日本語に落とし込んでから英訳する必要がなくなります。
[会社で つらい仕事 たくさん やんなくちゃ」という概念から、
そのまま
I have a lot of tough work to
do at the office. という英文を
直接作れるようになる。
そうなると、
[自分の考え] => ストレートに英語にする ことができる、
ということになります。
つまり、次のような変化が起こってくるのです。
変化前
[自分の考え、概念] => 日本語 =>
英訳
変化後
[自分の考え、概念] => 英語
これが、英語で考えるということになります。
(ですから、私は、実は英語で考える、日本語で考える
というのは本当の意味での考えるではないと
思っています。考えるのは、言語化される前の
段階ですから。)
つまり、英語で考えるというのは、実は難しいことではなくて、
[仲介役の日本語]を不要にすることだけ ということです。
そのぶん、ステップが少なくなるから、早く英語の言葉が
口から出てくる。
ただ、それだけのことを、「英語で考える」というふうに
大げさにいっているだけです。
(なぜ、それが大げさになってしまうかと言うと、
日本語は英語と言語上の乖離が大きいため、
[概念]を日本語をすっ飛ばして英語にするのが
難しいからです。)
まとめますと、
英語で考える、というのは、初級者には難しい
しかし、英語で理解する のは 初級者でもできる。
[英語で考える]ことと[英語のまま理解する]ことは違う。
初級者が英語で考える 段階に到達するまでのステップは、
[概念]=>日本語化 => 英訳 というステップを最初は踏む。
そうしてステップを踏んだ英語については、
[概念]=> 英語 が容易にできるようになる。
このような、[概念]=> 英語の蓄積をたくさんすることで、
ほとんど言いたいことを、
[概念]=> 英語 で言えるようになる。
このように見てみると、「英語で考える」というのは、
そんなたいそうなことでもないことが、分かってきます。
はい、あなたにも、当然できるようになります。