先日帰国子女の方6名程度と面談をさせていただいた。
日本に帰国してまだ1年未満という20歳前後の方々。
アタマの中には、現地に赴いた当時の記憶がまだ新しいので、英語を習得したいと考える方々の大きな参考になる話が多い。
一様に皆さんいうのは、「まわりから帰国子女だからって必ず見られる。
どういうことかって言うと、まずマナーが悪い。日本の常識をしらない。」
なーるほど。確かにそういうところもある。
概して態度がでかいと取られることが多いらしいが、まあ、アメリカで暮らしていたなら、態度をでかくしないと、やっていけないところもある。
「アメリカにいると、正義とか自分の主張とかを押し通さなくちゃいけないって いう雰囲気を感じる。だから必然的に自分もそうなる。」
面白いのは、実はみな一様に英語力は英語ネイティブにはかなわないと認識
していること。
会談の一部20分程度は英語でおこなったが、日本語で会話しているのとほとんど違いないくらいに、スムーズに会話は進む。それでも、英語ネイティブとは違う。
ある帰国子女いわく
「バックグランドと吸収している量が違いすぎる。日本人はいくら英語ができるといっても、表面的な英語は確かにできるが、もっと繊細な部分までとなると、そこまでは無理。」
「TOEFLとか英語ネイティブじゃあない人向けの英語試験は、はっきりいってカンタンすぎる。ああいった試験で満点レベルになって初めて、スタートラインと考えたほうがいい。
」
ごもっとも。
多くの日本人の英語学習者の方からいただくのは、「TOEICでスコア800を出したい」
という類のもの。
しかし、私はもう一方で、上級者からの悩みのメールもたくさんいただく。
「TOEICは920点。
周りから英語ができると思われている。
けれども実際には映画は字幕なしではほとんど聞き取れない。
旅行や普段の仕事での英語力は十分だと思うが、
それ以上のホントに自分がいいたいことを日本語に
言えるというレベルにはない。この先延ばすには
どうしたらいいでしょうか?」
事実 私も経験したが米国の大学院入学の際提出しなくてはいけないTOEFLという非英語ネイティブ向け試験は、90%くらいが足切りライン。その中から、今度は論文とか他のテストのスコアなどを見ていく。
だから
TOEFLで95%正解していても100%満点でも変わらない。
ただの足切りだから。
実際に多くの日本人留学生が、満点近くをゲットして留学するが、英語には苦しむ。
TOEICなどの試験で、すでに800点くらいを持っているならば、TOEICのスコアをあげる
という目標を設定すると、
ホントの英語力が達成できる前段階で伸びが止まってしまう。
このあたりでうろうろしている人は結構多い。
初級者の方は、もっと難しい状況かもしれない。
思い立って英語の学習を始めて、3ヶ月くらい、ちょっと伸びて伸びが止まり、それで また止めて。 半年くらい経つと、また「英語はやっぱりやらなくちゃ」と新しいモノに手を出す。
このパターンは、「英語の壁」を超えていないからおきる現象。
英語の壁というのは、ある一定のレベルまで英語力を一気に上げてしまい、英語での思考と日本語での思考を、いったりきたりさせない「壁」のこと。
この壁を越えると、何か見えない力に後ろから押されるように「英語上昇スパイラル」
に乗って、英語力は上昇していく。
たとえば日経新聞の代わりにウォールストリートジャーナル。
朝のNHKニュースのかわりにCNN。
テレビドラマの代わりに映画をDVDで。
翻訳本でなく原書で。
これは、もう英語を英語教材で学習するのではなくて、英語を使って楽しむ、その環境がさらに英語力を上昇させる。