海外で一緒に仕事をしていた日本人やビジネススクールで一緒に学んだ同級生たちをみても、みなビジネスで使う英語に関しては十分にこなしていく。
これは、ビジネスで使う英語には、実はある一定の法則があるからだ。
その法則というのは、あらかじめ話の内容が脱線することはなく、また脱線してもい
けない。かならず相手のわかるシンプルな表現を使い、できるだけ誤解を避ける、と
いうものだ。
分かりやすい英語といえば、学校での講義もこれに近い。
教授の仕事は、できるだけ学生に講義の内容を理解してもらうことだ。
一流の大学院となると、教授の生存競争も厳しい。教え方が悪かったり交誼内容が陳
腐だったりすると、学生からの評価が悪くなり、翌年は教鞭を取れないこともある。
つまり、クビだ。
だから、教授もできるだけ分かりやすく講義内容を伝えようとするし、またそのよう
な教授の評価は高い。だから、授業中にはあまり脱線がない。
英語ネイティブでない学生にとってはこれはありがたい。あらかじめ予習をしていけ
ば、授業の理解はたやすい。
しかし、一般の会話となると、かなり手ごわくなる。
これは、一般の会話内容にもよるが、たとえばクリーニング屋で用件だけを足そうと
すれば、これは簡単な会話で十分だ。
よく、広尾あたりに、海外から駐在できたような子ども連れの母親がパン屋でパンを
買い求めるのを見かけるが、基本的には、
「これください」
「いくらですか?」
「ありがとう」
で、買い物はできるはずだ。
しかし、一般の日本人の中に入っていこうとするとこれは、難しい。
「楽天の優勝には、やっぱり星野の采配が大きいよね。アメリカのメディアでは彼の
こと叩いているところもあるんだよね。ほら昔アメリカからきたアンパイヤの胸倉を
つかんで威喝したことがあっただろう、球審への威圧的な態度は、それだけで即刻退場の処分に値するのに、あそこまでやってしまったら、場合によっては永久追放に
なったかもしれない・・・」
こんな内容をアメリカ人が日本語でペラペラしゃべりだすのは、なかなか想像できな
い。
また、こういった内容を日本人に混じってウンチクをのべるのも至難のワザ。
つまり、用事を足す程度の会話ともっと深い一般会話とには雲泥の差がある。
そして、英語の難易度でいったら、この欧米人同士の深い会話は、ビジネスで使う英
語やアカデミックな内容の英語よりもさらに奥が深い。
私はこれは面白いと感じた。
自分自身もそうだったが、ランチの時に何気なく交わすchitchat(たわいもない会
話)のほうが、はるかに楽しく、しかも英語力向上にもってこいなのだ。
こういったchitchatを楽しんでいると、楽しくワクワクしながら、自分自身も会話を 楽しむことができるようになる。英語上達にはもってこいだ。
残念ながら英語教材には、こういった愉しい手法があまり考えられていない。
あなたには是非楽しみながら英語を習得してほしい。そのほうが効果絶大だし、なに
よりも好奇心を刺激されながら英語に触れていくと、英語がこんなにワクワクするも
のかと思うようになる。