映画を友人と見に行ったりすると、決まって聞かれるのが
どうやって英語を聞き取るのか?ということ。
たまに、字幕では特に面白くない箇所でも笑う人がいるが
その人は、字幕を読んでいない。英語で理解している。
映画を観るときの最終的な秘訣は、字幕をみない。
英語習得の過程で英語を学んでいるときに、最終形を英語に
しないと、結局日本語訳で理解してそれで終わってしまうことになる。
今までの学習から、英語を聴いたり読んだりする場合は、日本語に訳すのが、
私たちが学校で習い、また習慣としている方法。
日本語に訳すことにより、最終的な理解は日本語となる。
そのために、英語が記憶として留まるというよりも、日本語訳が記憶に残り、
それにより、私たちは、その英語を理解している、と判断してしまう。
中学レベルの英語でほとんどの英会話はカバーできる。
問題は、英語で理解しているかどうか、だ。
中学レベルの英語力はあるけれども、英語が全くできない、と嘆いている場合は、
単語=すぐにアタマの中で概念化(イメージング)ができないためです。
日本語に訳す
というステップではなく、たとえば drip=水道の蛇口から水滴がした
たるイメージ というステップができればすぐに英語のまま理解できる。
しかし最終的に日本語に頼る方法を続けると、
drip=水道の蛇口から水滴がしたたるイメージ というステップ
は、なかなか習得しがたい。
また、同じように、日本語訳での理解を続けると、英語独特の語法はいつまでも
身につかないため、結局一生英語学習者になってしまう。
中学生くらいの男の子がズボンを試着していたが、父親に向かって、
“It says light gray. But I don’t believe it.”
といってた。
これを従来のように全訳したらどうなるか?
「このズボンはライトグレーといってます。しかし私はそれを信じません。」
これではいくらなんでも硬すぎるのでもう少しやわらかくすると、
「これはライトグレーっていってるけど、僕は信じないよ。」
しかし、訳を柔らかくしてみても、本来はしっくりこない。
その大きな理由は、英語表現と日本語表現が1対1のように対比できないも
のが、実はかなり多いから。
まず、例の会話でいうと、
It says
ズボンが言っている、が直訳だが日本語にはズボンが話をすることはない
ので、ズボンがモノを言うなどという表現自体が存在しない。
なので、いくら日本語に訳して意味をとっても、it says という表現をすぐに
理解できないし、この表現がアタマに残ることもない。
だから、自分で英語で表現する場面でも、it says などという英語では子供でも
普通に使う表現発想が一向に身につかない。
この例でさらにいうと、
I don’t believe it.
という表現も日本語では大げさ過ぎて、ズボンの
買い物には使わないだろう。
この場面を日本語だけで考えたら、違うんじゃない、くらいが I don’t believe
it. に相当するでしょう。
ネイティブは、この表現を頻繁につかいますが、「信じる」などという強い
信念で言っているわけではないので、日本語との表現の温度差が大きい。
ライトグレーって書いてあるけど、でも違うんじゃない。くらいがこの場面に
相当する日本語になるでしょうが、中学生の英語表現をそのまま訳しても
なかなかこうはならない。
いちいち日本語にすべて訳してしまうと、このように英語独特の表現は
ぜんぜん自分のモノになってこないし、だからいつまでたっても英語理解、
それにつづく英語表現力が伸びてこない。
日本で売られているほとんどすべての教材が、英語と日本語を対比させて
必ず全訳が載っています。だから学習するほうは、必ず英語を一部見て、
そこの訳をみる。そしてまた英語の一部を見て、日本語訳をみて、
というのを繰り返す。
確かにこうすることで、内容が理解できたような気がする。事実
「日本語では」内容が理解できている。
そして日本語で理解することができたから「よし、この文章はもう大丈夫。
理解できた。」と早合点してしまっている。
この早合点がいかに多いことか。
あなたがこのように学習して理解しているのは、「日本語訳」です。
英語は全くアタマに入っていない。
「いえ、私はちゃんと英語を丸暗記したから英語もアタマに入っています」
という人もいるかもしれませんが、出くわす英語すべてを丸暗記していたら、
時間がいくらあっても足りない。
言葉というのは、100インプットして1くらいが記憶に残るか残らないか
でしょう。あなたが昨日友達と会話したフレーズをそのまますべて覚えて
いるでしょうか? 内容は覚えているでしょうが、フレーズの一語一語を
覚えていることはないでしょう。
でも、英語教育では、単語がズラッと書き出されていて、その横に
日本語訳がついている。それで、これを丸暗記する、ということを平気で
あなたに強要している。
確かに、一時的に暗記した内容を覚えているかもしれませんが、それが
実際に映画の会話の中で使われていても全く理解できないだろう。
「日本語訳」
としてしか覚えていないので、どのような場面で使う言葉か、
どのようなフレーズといっしょに使われることが多いか、を全く理解できないし、
推測できないからだ。
まとめると次のようになります。
*言葉を記憶にとどめるには、前後の言葉、フレーズとともにアタマに残る
*対訳では、日本語しかアタマに残らない
*丸暗記した言葉に出くわしても、どのような場面で使う言葉か、推測
できないため理解できないまま、会話はどんどん先へいってしまう。
この点を気をつけていくだけで、英語はかなり上昇するはずだ。
ほとんどの日本人の英語力はゼロではない。
いままでの蓄積を、うまく活用する第一の方法が、日本語訳をアタマに
残さず、英語をアタマに残し、イメージ化した英語をドンドン増やしていくことだ。