英語の聞き流しに効果なし。アメリカの言語学者の権威が、言語を習得するうえで言語を聞き流すだけでは効果がないことを実証した。英語を聞き流すだけで英語が聞き取れたり、英語が上達したりすればありがたいのだが、事実は決してそうではなかった。その理由を言語学者の発見とともにこの記事で見ていこう。そして、ではどのようにすれば英語を習得することができるのか、それについてもこの記事で合わせてご紹介する。英語の聞き流しに効果なし、と聞いてあなたはがっかりしたかもしれない。それでも英語を習得する方法はある。
夢は家事をしながら英語を流し聞くするだけ英語力向上!
子供に英語CDを聞かせていれば英語ができるようになる!
「英語の上達」「英語の勉強方法」と検索すると、このようなうたい文句とともに英語教材の広告がたくさん表示される。英語を聞き流すだけで効果が期待できるのか!じゃあ、その教材を買ってみようか!うたい文句に惹かれて英語教材を購入。しかし一向に英語力を向上しない。結局挫折!
挫折してしまったのは、あなたのせいではない。赤ちゃんが言語を獲得する方法や、言語を操る能力が育まれる過程を研究している米国ウィスコンシン大学の言語学者が、言語の聞き流しに効果がないことを実験で実証したからだ。
英語または言語の聞き流しだけでは言語を習得するうえで効果がないことを実証したのは、パトリシア・クール(Patricia Kuhl)女史である。彼女は幼児の言語発達の過程を研究する言語学者だ。言語学特に関する著書も多数執筆している。
英語の聞き流しに効果なし!パトリシア・クール(Patricia Kuhl)女史研究結果の要点
「英語を聞き流すだけで効果がありますよ!」英語教材音売り込み文句とは真逆の研究結果が、パトリシア・クール女史によって実証された。
クール女子はその研究結果を、TED トークでプレゼンテーションしている。
パトリシア・クール 「赤ちゃんは語学の天才」
Patricia Kuhlはワシントン大学の脳学習科学研究所の共同所長である。初期の言語と脳の発達に関する研究と、幼児の学習方法を示す研究で国際的な定評がある。Kuhlの研究は、幼児期に言語にさらされると脳がどのように変化するかを実証する上で大きな役割を果たしている。彼女の研究は、言語発達の重要な時期、バイリンガル教育と読書、言語を含む発達障害、コンピュータによる音声理解の研究にも影響を与えている。
そのプレゼンテーションの要点は次のとおり。
- 6か月の赤ちゃんは、母語だけでなく母語以外のあらゆる音を聞き分ける能力をもつ。
- 生の人間の声には反応して言葉として学習する。
- しかし、テレビやCDから流れてくる言葉を、言語として認識せず、そのため言語学習につながらない。
- さらに、1歳に達すると、母語以外の音は雑音として処理する。
英語の聞き流しに効果がない理由その1
生の人間の声でなくてはならない
英語の聞き流しということは、その英語の音源は、目の前で人が話している言葉ではないということです。
6か月蔵までの赤ちゃんは、これから言語を獲得していく過程にあるわけですから、様々な音の区別ができる能力を持っています。しかし、その音を「ことば」として理解するためには、目の前でお母さんが話してくれるような環境が必要になるということです。
英語の聞き流しに効果がない理由その2
1歳に達すると、母語以外の音声は雑音になる
英語の音声は私たち日本人にとっては外国語の音声です。そしてこれは1歳の赤ちゃんにとっても同じということです。
さらに、1歳の赤ちゃんは、私たち大人と同じように、母語以外の音声を雑音として扱ってしまうのです。
考えてみれば、母語以外を雑音として扱う理由は明快です。
なぜならば、効率的に言葉を覚えていくためには、言葉とそれ以外をはっきりと区別できるほうがよいからです。
「あっ、この音は言葉だから理解しよう。」「これは、犬の鳴き声だから理解する必要はない。」このように、脳が無意識に判断しているから、効率的に母語を学習できるようになります。
この理論で考えれば、英語を含めた外国語は母語ではないから、犬の鳴き声と同じように扱われてしまうことになります。
英語の聞き流しに効果がない理由その3
1歳をとうに過ぎている大人の私たちの耳には、英語の音は犬の鳴き声と同じ雑音
私たちはすでに大人になっていて、子供よりも語学の習得において、後れをとっています。音声においてはなおさらで、1歳の時にすでに雑音として扱っている英語の音声を、聞き流すだけで英語の音声と認識していくことは、相当に困難です。
英語聞き流しについて私の経験
英語をたくさん聞けば英語が聞き取れる効果があるのではないか?
私は高校生の頃にこのような期待をもって、当時ラジオ放送でアメリカのミステリー番組を月曜日から金曜日まで毎日30分聞いていました。
当時の英語力は英検準一級くらいだったと思います。毎日ただ漠然とこのミステリー番組を2年ほど継続して聞きました。
毎回完結のエピソードだったのですが、誰が誰を殺害したのか、どういう理由でこじれてしまい犯行に及んだのか、結局2年間コーヒーをすすりながらラジオを聞いていましたが、わからずじまいでした。
まとめ
英語の音声が聞き流すだけで理解できるようになることはありません。
それは、言語学者であるパトリシア・クール女史が実証実験の研究により明らかにしました。そのため、英語を聞き流す効果はないと断言しても差し支えないでしょう。
追記:英語が聞き取れるようになった私の方法
聞き流しで失敗してしまった私ですが、今では当時のミステリー番組も聞き取れます。英語のテレビ番組や映画も聞き取れます。
その理由は、英語を聞き流したのではなくて、集中して聞くことをしたからです。
私が練習した方法は次のような方法です。
私には、効果抜群でした。
用意するもの
- 英語の音声とスクリプト(英語の文章)
英語が聞き取れた方法 手順1
英語のスクリプトを読む。
ハリーポッターシリーズであれば、1ページ分くらいの英文を読みます。
英語が聞き取れた方法 手順2
意味が分からないところは、ハリーポッター日本語版で確認します。
英語が聞き取れた方法 手順3
内容をしっかり理解できた段階で、同じ個所(1ページ分くらい)をすらすらと英文でよめるように、10回くらい繰り返し読みます。
英語が聞き取れた方法 手順4
10回程度読みこなすと、日本語に訳さずとも英語の文字を見ただけで意味が理解できるようになっていきます。
英語が聞き取れた方法 手順5
同じ個所の音声をCDまたは、アマゾンのaudibleで繰り返し聞きます。
すでに、英文が頭に入っていて、意味も分かっているので、いきなり音声を聞くよりもはるかにわかりやすく聞き取ることができます。
英語が聞き取れた方法 手順6
音声を聞き取れないところがどうしてもでてきますので、原文でチェックします。
英語の場合、音と音が重なったり、つながったりして、自分が想像している音声とは違う音声として聞こえてきます。その部分をしっかりと原文と照らし合わせてチェックします。
そうすると、たとえば、going to be は「ゴーイング ツー ビー」と聞こえると思っていたけれども、実際には「ゴナビー」と聞こえる、というように、英語音の聞こえ方がわかってきます。