でも、それができない。どうしてか?
理由は2つある。
一つは、そもそも、話している英語自体がもし紙に書かれていても
わからない場合。これはリスニングの問題ではなく、英語力の問題。
こういう場合は、たくさんの簡単な英文をたくさん暗誦して、
自分の中にある英語の量を増やすことだ。できれば音声付の教材で。
英語初級者は、英文自体をアタマに入れる必要があるので
このゆっくりした明瞭な発音の英語が役に立つ。
しかし、ある段階からは、やはりナマの英語も聞いておかないと、実践で役に立たない。
バッティングマシンでいくら練習しても、やはりナマの人間が
投げる球とは違う。
生の人間にも球を投げてもらって、それで練習する。
そのほうが、本番に強いだろう。
もうひとつ、こちらが本筋の問題だが、もし日本で売られている
教材のようにゆっくりと話している英語なら聞き取れて、
ナマの英語になると聞き取れない場合。
これは、明らかにリスニングの問題。
この場合の対処法は、ナマの英語を聞いて「データベース」を構築することだ。
長年、日本の英語教材になれていると、そのスピードが普通と
思ってしまう。
しかし、インターネット、DVDなどで、ナマの英語も日本で
聞けるようになると、今まで自分がやってきた英語が
「ナマの英語ではない」ということに気づく。
たとえば、
I moved two weeks ago from Boston.
ネイティブのナマの英語だと、
「I ムーツイークスゴウ」のように聞こえる。もちろん、聞こえ方は
人によっても違う。
一方、ゆっくり英語だと、
「アイ ムーブd トィークス アゴウ」のようにはっきり聞こえる。
このように聞こえる人は、
I moved two weeks ago from Boston. = 「I ムーツイークスゴウ」
そして、
I moved two weeks ago from Boston. = 「アイ ムーブd トィークス アゴウ」
という2つのデータベースを持つことが大事。
こうしてアタマに入れ込んで置く。
さらに、話し手によっても音は変化するので、このデータベースには
さらに、柔軟性が必要になる。
わかるだろうか?
決して、一通りのお決まりの音しか自分が持っていないと、
いろんな人の英語に対応できないことになってしまう。
ニューハンプシャーの片田舎の人の英語を聞いて、
「彼の言っている英語がよくわからない」というアメリカ人の同僚がいた。
その同僚は、ニューハンプシャーの片田舎の英語に対応できる
データベースがなかったため、最初はその英語に戸惑ってしまったのだ。
ネイティブでも、ありえることなので、いわんやノンネイティブをや、になる。
アメリカ人がロンドンで仕事をする時は、最初彼らの英語に
戸惑うように、私たち日本人は、英語が母語でないからもっと戸惑ってしまう。
ロンドンオリンピックでイギリス人ナレーターが出てくると戸惑う人もいるかもしれない。
しかし、声を大にして言うと、ネイティブでも聞いたことがない英語は
聞き取れないのだ。
いつまでも井の中の蛙のように、お勉強英語だけで
済ましていると、実際の英語が速くてわからないと感じてしまう。
ぜひ、積極的にナマの英語を聞いて、あなたの英語データベースを
ドンドン構築していってください。